ClaretMoonは同人サークル青狼亭の女性向けBL小説・イラストサイトです。
 学生や少年を題材にしたオリジナルボーイズラブ小説を置いています。版権物はありません。
 ※ボーイズラブなどに嫌悪感のある方はご遠慮ください。

★掲載中の小説一覧

◆ ClaretMoon (BL/長編/学生・猫耳・ファンタジー)※R18
キャラクター 世界
プロローグ  1/ 2/ 3/ 4/
act.1 1/ 2/ 3/

◆ 夕月夜 (BL・NL/短編集/少年・時代物)※R18
キャラクター
始まりの章  1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ 9/ 10/ 11/(完結)

◆ 夕立狂詩曲 (BL/短編/高校生)※R18
1/ 2/ 3/ 4/ 5/ 6/ 7/ 8/ new!

夕立狂詩曲 8 ※R18 

※R18※

性的表現を含みます










 首にまわしたほうの手で陽一の耳を塞いでやる。すぐ目の前にあるもう片側の耳には口唇を這わす。視覚も聴覚も遮られて、オレだけを意識できるように。
 耳の縁に沿ってゆっくりと撫でるように口唇を滑らせる。焦らしながらたどり着いた耳朶を甘噛みしてから、その跡を舌の先でなぞってみる。
 だんだんと、密着している陽一の身体が火照ってくるのがわかる。呼吸も速くなって、吐く息は焼けるような熱を帯びはじめた。
 陽一に合わせて愛撫の刺激を強めていく。耳の内側を湿らせてぴちゃぴちゃと音をたてながら、奥のほうまで舌先ですくうように撫で上げてやる。

「んっ、く…ぅ!」

 陽一が抑えきれずかすかに声を漏らした。自分でもそれに気付いたのか、すぐに口をオレに押し当ててそれ以上の声を押し殺している。

(かわいい…!!)

 性格上どうしても我慢してしまうのだろう。オレはもっと声も感情も抑えられなくなった陽一を見たくなった。
 腰にあてた腕を解いて、ふたりの身体の間に割って入れようとした。密着した隙間には指先だけは入っても、陽一がしがみついているせいでそれ以上ねじ込めない。オレはすぐにあきらめることにした。ムリに隙間を開けようとしても、こいつがすんなりと受け入れるとは思えないのだ。
 もう一度、無防備な腰の方から、今度はトランクスのゴムの下にするすると指を通してから、そのまま一気に奥まで手を滑り込ませた。

「…っ!!」

 驚いた陽一がビクンと反応して、一瞬、腰を浮かせる。

(いける…)

 隙ができることを確信したオレは、陽一が感じやすいところを探る。尻から太腿まで手の届く範囲を、指の腹でくまなく撫で上げてやる。

「ぅ…は、ぁ…」

 呻くように声を留めている陽一。それでも指先からは、鳥肌を立てて小刻みに震えているのが、はっきりと感じ取れた。
 尻の割目をなぞると、ひときわ大きく腰をくねらせて抵抗した。その奥に隠れている蕾に指先が触れた瞬間。

「…っ、んあ!!!」

(いまだっ)

 予想通りに陽一の腰が跳ね上がったのを利用して、手の甲に引っかけたトランクスをずり下ろした。


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あとがき〜 

2万ヒットありがとうございました!
わわ、あとがき書いてるのに2500も超えている…!!
企画の「カミサマは8ビット」読んでいただいたみなさま感謝感謝!です。

小説ではないんですけど、いかがでしたでしょうか。
まぁ、見ていただいたらわかるんですが、続きますw
もともと他で書いてたものなので。。
また機会があれば載せたいな、と。


あと、NIKKOさんてスマスマで慎吾くんがやってましたね。
や、途中で気付いたんですよ。「あ、被ってる!?」って。
でも直す気力なかった。←
どっちにしても、そろそろ賞味期限切れなネタですよね(ちょ



さて、つぎは夕立狂詩曲の続きです。R18ですw
R15くらいに止めておきたいけど、いつの間にか激しくn…(ry

なんとか、この話はソフトに仕上げたいと思っています。
ではでは。


真田

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カミサマは8ビット 4 (2万打記念企画) 

4.


【ハルト】
「おまえ、まさかホントに…」


【青年】
「泣いてたんだ?」

オレの濡れた頬を、彼の指がそっと拭う。


【ハルト】
「っせーよ…」

言葉ではそう言っても、いまはそのやさしさが嬉しい。
彼の顔を見ないようにして、また涙があふれそうになるのをなんとか止める。


【青年】
「守ってあげる。キミが求めてくれるなら」

その言葉に胸がギュッとなる。
こいつのこと、信じていいのかも知れない。


…と思ったのに!


「だから、ここにサインv」
ピラピラと誓約書を見せる。

【ハルト】
「〜っ、人が信じようとしてんのに、足元見んなよ!! それが怪しいんだよ!!」

【青年】
「ん〜、ダメなら帰るけど…」

ササッと引き出しに戻ろうとする青年に、オレは慌てて声をかける。


【ハルト】
「だーもう、わーったよ!! するよ!!サインすればいいんだろ!!?」


【青年】
「ん」

ロープがほどかれると、オレは真っ先にズボンをあげた。
こいつに見られるのは、何故だか妙に照れるのだ。

そして、誓約書にサインをする。


【ハルト】
「これでいいんだよな」

突き返すように、その紙を渡す。


【青年】
「三剣…ハルト、だね」

オレの名前を確認すると、急にまじめな表情でこっちを向いた。
その凛とした佇まいに、ドクンと鼓動が高まる。

「我が名はライセ。この誓約により天神黄龍の名において、今日からキミを守護する、ハルト」


【ハルト】
「ライ、セ…」

役目を終えたように、誓約書が細かな光の破片となって昇華してゆく。


【NIKKO】
「ちょっとアンタたち、いつまでも訳わかんないことやってんじゃないわよ」

突然の大声に振り向くと、意識の戻ったらしいオカマと男が、凄まじい形相でこちらを睨んでいる。
ライセとのやりとりで時間をかけすぎたようだ。
オレたちは逃げるタイミングをのがしてしまった。


【ライセ】
「醜いな」

この状況で、不意にライセがつぶやく。


【NIKKO】
「な、な、なんですって〜!!」

【ライセ】
「醜いと言っている。オレは醜いものが嫌いでね」

【男】
「ガキどもが調子に乗りやがって!」

完全に血の昇った二人が、怒鳴りながらこっちに向かってくる。


【ハルト】
「ちょ、なんとかしろよ、ライセ!!」

オレは慌ててライセの腕をつかんで叫んだ。

【ライセ】
「オレは人間を攻撃できないよ」

【ハルト】
「はあっ!? じゃあなんで怒らせるようなこと言うんだよ!!?」

オレを助けに来たといっても、この大男たちを相手に力で勝てるとは思えない。

(しかも攻撃できないって…!!)


【NIKKO】
「覚悟しなさい。まとめてめんどう見てやるわ」

振りかざした太い腕がオレたちに迫る。


【ハルト】
「…っ!!」


【ライセ】
「…でも、ハルトの頼みなら別だな」

そう呟いた刹那、ライセの全身から強烈な風が巻き起こった。
その勢いにまともに息すらできない。両手で防いでも目を開けるのがやっとだ。

男たちも腕を上げたまま、壁にでもぶつかったかのように動けないでいる。


【NIKKO】
「あばばばばば! な、何よアンタは!!?」

叫び声もかき消すほど、書類や張り紙がバサバサと音を立てて、次々と舞い上がる。
やがて風の流れがライセの周りで渦を巻き、その表層にはバチバチと鋭い稲光が走る。


【ハルト】
「な、なんだよこれ…!?」


いくつもの棚をなぎ倒し、空気の塊があたった壁には亀裂が入る。

(やばいって、崩れたら、ここ地下だろ? …って、目がすわってる!)


オレがライセを止めようとしたその時、突如出現した何本もの鎖がライセの身体に絡みつき、その動きを止めた。



【ライセ】
「ちっ、監査委か」

【リン】
「ライセ様!!」

叫びながら飛び出して来たのは、さっきの女の子だ。


【ライセ】
「さすがに早いな、リン。悪いけど、邪魔しないでくれる」

再び空気が膨れ上がり、拘束していた鎖を押し戻す。
何本かが甲高い音をたて弾け飛んだ。

【リン】
「なんて力…! やめてください!人への攻撃は違法行為になります!!」

【ライセ】
「人間には当ててないよ」

【リン】
「しかしっ!これ以上は委員会で問題になれば私でも釈明できません! それに、貴方の損傷が!!!」

リンの声で目を凝らすと、ライセの身体や衣服の端々がキラキラと煌めきながら剥がれるように欠けていくのが見える。


【ハルト】
(…傷? こいつ、まさか怪我してまでオレの為に!?)

そう思った途端、オレは咄嗟に叫んでいた。

「ライセっ!もういい、やめろっ!!!」


【ライセ】
「ハルト? こういう連中は潰しといたほうがいい。次また何をされるかわからないよ」


【NIKKO】
「ひぃぃ、お助け〜」

倒れた棚と棚の間にできたわずかな隙間に隠れて、大男二人がすっかり小さくなって震えている。


【ハルト】
「もう十分だと思うけど…。」

「それより、何て言うか…、おまえに無茶させたくないんだ。どうしてか分かんないけど、これもオレの頼みだ! …ダメかな」

ライセの気が急速に収まってゆく。
表情も、元のライセだ。


【ライセ】
「わかったよ、ハル。ありがとう」


【ハルト】
(…ハル!?///)

「なぁ!いまハルって言った? ライセっ!?」

なんだか妙に親密になれた気がして、オレは嬉しくなって聞き返した。


【ライセ】
「さ、戻るよ〜」

すっかり元の軽い口調に戻ったライセはさらっと流したけど。
そしてオレの手を引き、一直線にデスクへと向かう。
ライセの出てきた机とパソコンだけは、そこだけ避けたように無事だ。


【ハルト】
「ちょ、うそっ!? 戻るって、引き出しからかぁぁあぁぁぁ!!」



ハルトたちがいなくなった事務所に静寂が戻り、めちゃくちゃになった室内に、男二人が呆然と取り残された。

【NIKKO】
「あ…、な、なんだったの…。 もう、どんだけ〜!?」



☆ ハルトの部屋 ☆

あの後、どうやって戻ってきたかは覚えていない。
気が付くとベッドで朝を迎えていた。

【ハルト】
「ん〜…っ!」

まだ眠い目をこすりながら起き上がる。
すぐに昨日の事を思い出す。
夢のような不思議な出来事を。
でも、あれが夢でないことは、はっきりとした確信があった。
あいつの声が、言葉が、何より握られた手の感触がまだオレの中に残っていたから。

オレの守護者、ライセ。
また突然に引き出しから飛び出してくるのが楽しみだ。


【ハルト】
「…あれ、オレって結局なんの誓約したんだっけ?」


これがあいつとの出会い。
この物語の始まり。





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カミサマは8ビット 3 (2万打記念企画) 

3.

※ R18 ご注意ください! ※



☆ NIKKOさん事務所 ☆

【部下の男】
「そらよっと」

奥の部屋に入ると、男の肩から下ろされた。
パソコンや積まれた書類が目に入る。どうやら店の事務所らしい。

ふらつくオレの首を男がつかみ、そのまま机に押し付ける。


【ハルト】
「う…ぐ」


【NIKKO】
「こんな若いコでヤるのは久しぶりねぇ」

奴が不気味な笑みを浮かべながら近づいてくる。


【ハルト】
「な、何する気だよ…っ」


【NIKKO】
「何って、決まってんじゃない。こっちでするのは初めてかしら?」

言いながら、オレの尻の割目をなで上げる。


【ハルト】
「!!!!」

ようやくその意味に気がついた。


(こいつ、オレを犯す気…!!!)


途端に全身がカタカタと小刻みに震えだした。
言い知れぬ恐怖にパニックになる。

「や、めろっ! やめろよっっ!!」


オレはここから逃れようと必死にもがいた。
何かの書類がバラバラと床に落ちる音がする。


【部下の男】
「ほら、暴れんじゃねえよっ!」

【ハルト】
「がっ!!」


再び頭を叩きつけられた。
キーボードに顔面からぶつかり、いくつかのキーが壊れて飛ぶ。


【NIKKO】
「あらあら。この弁償も、身体でしてもらわなきゃね」

愉快そうに言う声。
大人の男に2人掛りで押さえつけられ、この状況では抵抗など無意味だと思い知らされる。


ロープで後ろ手に縛られ、完全に自由が奪われた。
そして、無防備に腰を突き出した格好のオレに、奴の手がかかる。

カチャカチャとベルトが外される音。
するりとズボンがすべり落ち、トランクスの中をすり抜けるひんやりとした空気が、さらに羞恥心を煽る。


【ハルト】
「や…めて、…よ」

くやしいけれど、懇願するような言葉がこぼれた。
じわっと涙が浮かんでくる。


【NIKKO】
「いい表情になってきたわね〜。あら、何よあんた。嫌がってる割にもう勃ってんじゃな〜い」

めざとくオレの変化を見つけ、わざとらしく大声で言う。


【ハルト】
「く…ぅ」

膨らんだモノを下着の上からこすられ、オレの意思に反してさらに硬くなっていく。

嫌悪感で吐き気がする。
せめて声だけは洩らさぬように、ぐっと堪える。


【NIKKO】
「準備万端。そろそろヤっちゃおうかしら」

ひとしきりオレの反応を愉しんだのか、唐突に奴が言った。


【ハルト】
「やっ、やめろっ…!」

トランクスのゴムに指がかけられたのに気付き、思わず声をあげる。


【NIKKO】
「ほーら、ご開帳〜」

【ハルト】
「いっ、いやだ…!!!」


なす術もなく一気に下ろされ、オレの下半身が露わになる。


(…ちくしょう…!)


こんな奴らの前であられもない姿をさらしている。
そう思うと、くやしさと恥ずかしさで、自然と涙が溢れ出した。

見られているのが分かる。
両手で尻を広げられて、すみずみまで見られている…!

そしてこれから、これからオレはこいつに…!!


(助けて…! だれか、だれか助けてー…!!!)


誰にも届かないとわかっていながら、心のなかで思い切り叫んだ。


と。


ガシャーーー!!!


【ハルト】
「がはぁっ!!」

突然、勢いよく引き出しが開き、オレたちはバラバラに飛ばされた。


なんとか顔を上げ、オレは目を見開いた。
現れたのは、さっきの青年だ。

【青年】
「よっ!」


【ハルト】
「〜〜っ。よっ!じゃねえ!!痛ってえなあ!!!」

本日三度目、腹部を強打したオレは思わず怒鳴った。


【青年】
「まぁまぁ。大事なモノは怪我してないんだし、いいじゃない」

ちょいちょい、とオレの股間を指差す。


【ハルト】
「えっ、…だはぁぁあ!!」

丸出しのソレを隠そうと慌てたが、両手が縛られていて思うように動けない。
仕方なく脚を交差して、なんとか見えないようにしてみる。


【青年】
「あっはは! かわいいね〜」

【ハルト】
「うっせえ!! ちょっとずれてたら直撃だったじゃんかっ!!」

つっこんではみたが、そんなことはこの際どうでもいい。
あのときの、部屋でのことを思い出す。


(たしかオレの守護者になるって…、こいつマジで言ってたのか…?)


「…なんでここにいんだよ?」


【青年】
「呼んだでしょ? 助けてって」

にっこり笑って、当然のように言う。



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カミサマは8ビット 2 (2万打記念企画) 

2.


☆ 繁華街 ☆

【ハルト】
「はあ、はあ。あーもう、何だったんだよ一体」

肩で息をしながら呟いた。
思わず飛び出したが、そのまま繁華街の外れまで来てしまった。


(まさかホントに別の世界から来たのか…?)

(でも、誓約書とか言ってたよな。どうせ新手の詐欺とかに決まってる。つーか、人ん家まではいるかよ、普通。犯罪じゃねーの??)


そんなことを考えながら歩いていた時だった。


ドン!!

【ハルト】
「っ!!」

誰かにぶつかったらしく、弾かれたオレはそのまましりもちをついた。


【ハルト】
「〜〜っ、いてて」

【男?】
「痛ぁ〜い、何ぶつかってくれてんのよ〜。」

その太い声に顔をあげると、女性物の服に化粧をした大柄で明らかなオッサンが仁王立ちでオレを見下ろしている。


【ハルト】
「げ。 お…かま…?」


【部下の男】
「おかまじゃねぇ!ニューハーフだ!てめぇNIKKOさんナメてんのか!?」

【NIKKO】
「どんだけ〜!? ちょっと何よこのコ、お仕置きが必要なんじゃない? 店に連れてきなさいよ」


指示された男がオレの腕をつかみ、強く引っ張る。


【ハルト】
「や、あっ!な、何すんだ…がはっ!?」


抵抗しようとしたが、叫ぶ間もなく男のこぶしが腹部に食い込んだ。
意識が遠のき、ガクッと膝が折れる。

オレはそのまま引きずられるように、地下に連れ込まれた。



☆ NIKKOさんの店 ☆


どさっ!

【ハルト】
「っ、ぐ…」

ソファの上に乱暴に投げ落とされ、オレはうめき声をあげた。
意識こそはっきりとしているが、さっきの痛みで身体に力が入らない。

タバコと香水の臭いが染み付いた薄暗い店内。
閉鎖された空間に、恐怖心が押し寄せる。


【NIKKO】
「生意気なガキだけど、けっこう可愛い顔してんじゃない。どんなお仕置きがいいかしら〜」


そう言って近づくなり、そいつはオレの両腕を頭のうえで交差させて押さえつけた。
おかまとはいえ、紛れもなく男の体格。片手で拘束されただけの腕はピクリとも動かない。


【ハルト】
(っ!!なんて力なんだ、こいつ!!)


すると、大して抵抗できないことを察したのか、もう片方の腕をオレの下半身に伸ばしてきた。
ごわついた大きな手のひらが、ズボンの上から太腿や股間のあたりを執拗にまさぐる。

オレはなんとか逃れようと腰をくねらせるようにもがいたが、驚くほど慣れた手つきで、敏感な部分を的確に攻められる。

徐々に身体が熱く痺れてくるのを感じる。
もしこのまま反応してしまったら、何をされるかわからない。


【ハルト】
「く…。や、やめろよ!気色悪いっ!!」

思わず言い放った一言に、そいつの表情が一変する。


【NIKKO】
「気色悪い…? ガキだと思ってやさしくしてりゃ、調子に乗ってんじゃないわよ」

ドスのきいた声に、身体がビクリと震えた。
どうやら言ってはいけない言葉を発してしまったらしい。


ヤバイ!と思った次の瞬間、オレの身体がぶわっと宙に浮く。


【ハルト】
「!!?…うぐっ!」

隣のソファの肘掛に激しくわき腹を打ちつけ、その場に崩れ落ちた。
息ができず悶えるオレを、部下の男が担ぎあげる。


【NIKKO】
「奥に連れてきな。店が汚れちゃ堪んないからね。反省するまでた〜っぷり可愛がってやるわ」

【部下の男】
「へへ、自業自得だな。悪く思うなよ」


うっすらとした意識のなか、オレは奴らのそんな会話を聞いた。


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カミサマは8ビット 1 (2万打記念企画) 

1.オレがキミの守護者になる


【ハルト】
「キョウヤー!キョウちゃーん!」

幼なじみの名前を呼ぶ。
このところ学校を休んでいたキョウヤの家に、授業のプリントを届けにきたのだ。


【ハルト】
「あれ、いないのかな。キョウ…」

ガチャ

もう一度呼ぼうとすると、ドアが開いた。


【キョウヤ】
「…何?」


【ハルト】
「あっ、キョウちゃん! ガッコのプリント持って来たよ! 結構たまってるよ〜ほら!」


【キョウヤ】
「あ、そ。その辺置いといて。俺、忙しいから」

思いがけず素気ないキョウヤの態度に動揺したが、部屋に戻ろうとするキョウヤに慌てて話しかける。


【ハルト】
「え、あ、あのさっ、最近学校来てないけど、どうしたんだよ。風邪?」


【キョウヤ】
「どうして? 学校なんて意味ないから行かないだけ。悪い?」


【ハルト】
「意味ないって…、何言ってんだよ。テストも近いし、クラスのみんなも心配して…」


【キョウヤ】
「興味ない」


【ハルト】
「え…」

一瞬、空気が凍りつく。


【キョウヤ】
「授業も、クラスメイトも。ビジネスに役立たない連中なんて、興味ないね」

吐き捨てるようにキョウヤが言う。


【ハルト】
「ちょ、おまえどうしたんだよ!?」

自分の耳を疑う様な親友の言葉に、オレは思わず声を荒げた。


【キョウヤ】
「お前もだよ。じゃ、俺は投資の途中だから、邪魔するなよな」


【ハルト】
「オレも…? 何だよ、それ!!なあっ!キョウヤっ!!」

言い終わらないうちに、バタンと重たい音を残し、ドアが閉まった。


【ハルト】
「おい!待てよ!! キョウヤ!!開けろよ、何かあったのかっ!?」

何度も、ドアを叩く。
中からの反応はない。

急に人が変わってしまったかのようなキョウヤが信じられず、オレは名前を呼び続けた。


【ハルト】
「どうしちゃったんだよ!!キョウヤ、キョウヤーー!!!」


・・・

・・・


☆ ハルトの部屋 ☆

【ハルト】
「キョウ…!!」

自分の声にハッとして、オレは目を覚ました。


「…夢、かよ」

起き上がり、じっとりとかいた嫌な汗を拭う。

まるで昨日の再現だ。
そう、キョウヤのことは夢ではない。
あの言葉のひとつひとつが現実なんだ。


(オレとか学校とか興味ないって、ビジネス?投資? 何だよそれ)


「…わけわかんね。」

重苦しい気分で、とりあえずパソコンを立ち上げる。


「キョウちゃん頭良いからなー、なんかそーゆーのはまってんのかなー」

気を紛らわすように独り言を言いながら、カチカチとこれといったあてもなくサイトを巡る。
こういうときは大抵面白い記事は見つからないものだ。


と。

ヴ…ン

「あれ…?」

突然、画面が乱れだした。


「なんだよー、調子悪いのか?」

モニターや本体をあちこち叩いてみる。
ほどなくして、元に戻った。

「お、直った。やっぱ、電化製品は叩くと直るんだよね〜v」

ゴン!


「…ゴン!?」

机の天板に内側から何かぶつかった物音に、オレは思わず立ち上がった。
一歩、二歩と静かに後ずさりする。

(い、いまの引き出しだよな…? 何か…いるの…!?)

恐るおそる近づいて、手を掛けたときだった。


ガシャァー!!


「!!!!!???」

いきなり勢いよく引き出しが開き、その直後、なぜか若い男と顔をつき合わせた。
訳が分からず、言葉が出てこない。

「なっ、あ、あ…」

【青年】
「パソコン叩いちゃダメだよ? データ消えちゃったらどうするの。驚かせないでほしいな」

どっちがだ!と思いながらも口をパクパクさせたまま固まっているオレに、これがそいつの第一声。

引き出しから上半身だけ出したまま部屋をぐるりと見渡して、笑顔でオレに問いかける。


【青年】
「キミ、だれ?」


【ハルト】
「〜っ、あんたが誰だよ!!???」

つっこんでようやく声になったが、お構いなしといった様子で彼は続ける。


【青年】
「あのさ」


【ハルト】
「な、何っ!?」

【青年】
「顔、近いんだけど…」


彼の指先がオレの頬に触れる。
気が動転して気付かなかったが、色白で女性みたいに美形なそいつの顔に、鼻先や口唇にいまにも触れそうなくらい近い。


【青年】
「ちゅーしちゃおっかな」

そう言って、いたずらっぽく顔を近づけてくる。


【ハルト】
「はわぁぁああ!!」

オレは、ぼっと顔に血がのぼるのを感じて慌てて飛びのいた。


【青年】
「あっはは!かわいいね〜キミ」

お腹をかかえて笑いながら、引き出しから出てくるそいつ。


【ハルト】
(な、何なんだよ〜こいつ!!?いきなりチューしちゃおうとかありえねえ!! ってか…)

「土足だしっ!!(ガビーン)…じゃない。あんた、なんでそんなとこいるんだよ!?どうやって入ったんだよ!??」


【青年】
「入ったんじゃなくて、出てきたんだよ? オレのいる世界とこっちの世界をつなげたの。アドレスは合ってるから間違いないと思うんだけど」


【ハルト】
「はぁ!?何言ってんだ。 ばっ、バカにしてんのか!ドラ○もんじゃあるまいし、そんな…」


【青年】
「ド○えもんじゃない! 失礼な。不恰好な2頭身タヌキとこの美しいオレがどうして同じに見える」


【ハルト】
「うわ、ナルだよ…ってか、伏字ずらすなよ!言いすぎだから!クレームになるから!」


【青年】
「それでね」

【ハルト】
(スルーか!!!)

【青年】
「キミにネット界を救ってほしいんだ」

そう言った彼の瞳が、じっとオレを見つめる。
マジで言ってるのかそれとも冗談なのか、表情からはさっぱり読み取れない。


【ハルト】
「は、ネット界…を、救う? なに言って…」

【青年】
「心配しなくてもいいよ。オレがキミの守護者になる」

【ハルト】
「なっ…」

無茶苦茶な、でもちょっと魅惑的な響きに、一瞬戸惑う。

【青年】
「リン、いるんだろう。誓約書を」

【レフェリー リン】(以下リン)
「はい、こちらに」

ピョンと、引き出しから飛び出てきたのは、子供より2まわりくらいは小さい女の子。

【ハルト】
(今度はちっちゃいのキターー!!)

明らかに人間のサイズではない。
それに。

(えっ、飛んでる…!!!?)

確かに飛んでいる。浮いている、というのが正しいのかもしれない。

いきなり机から出てきた青年と、浮遊する妖精みたいな女の子。
とてもじゃないが理解できない状況に、オレはたまらず部屋を飛び出した。


【青年】
「さ、ここに名前書いてね。内容は暗号化して転送されるから心配な…、あれ?」

【リン】
「…逃げましたね」

キィキィ、と音をたてながら部屋のドアがゆれている。


【青年】
「まいったなぁ。部屋の外は範囲外なんだけど」


【リン】
「くれぐれも規約に反する行為はなさいませんよう」


【青年】
「カワイイ顔して厳しいよね〜、そーゆーとこ」


【リン】
「監査委の義務ですから。あなた様でも例外というわけには」


【青年】
「はいはい。とりあえず、オレは様子みてくるよ」

そう言って、青年は再び引き出しに飛び込んだ。


【リン】
「……お気をつけて」


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